田代桂子さん個展
当時74歳の田代桂子さんが芦屋町で個展を開いたと、
記事にしたのは2015年でした。
取材で出会ってから4年後、
田代さんが旅先から絵ハガキをくれました。
「モンテネグロのコトルにいる」
「今夜は夜行バス10時間でマケドニアに行く」
「ではまた。熱中症に気をつけて」と
田代さんがコトルの風景を絵に描いてくれたハガキを
私は自分の作業デスクのところの壁に貼っています。
原稿に行き詰まったりしてPCから目線を移すと
いつでも田代さんの絵が目に入るのです。
田代さんは一人で海外に行き、長期のスケッチ旅行をすることを続けています。
2ヶ月以上の外国スケッチ一人旅と聞いたら素敵です。憧れます。
けれど憧れと同じくらい「大変そう」とも思ってしまうので
実際に行動に移すことを考えたら尻込みします。
でも田代さんは、そうではない。
もしくは「大変そう」と思うのかもしれなくても
見たい景色を見るということと苦労を天秤にかけたら
見たい景色を見るという皿の方が下がるのです。
それを誇るでも自慢するでもなくブランディングするのでもなく
「見たいから行かないとね」と、ただ素直。
田代さんのそういうところが、私は大好きです。
好奇心と素直さとパワフルさと
いろんな魅力が小さな体にみちみちと詰まっていて
実際に自分の足で行き、自分の目で見て自分の手で絵を描いてきた
体験と体感を通して得たいろいろのものが、
田代さんから溢れているのです。
そんな田代さんからいただいた絵ハガキは
私にとって「この仕事をしていてよかった」が具現化したもの。
真摯に仕事をしているとこんな素敵な人に会えるというご褒美的な象徴なので
眺めていると、元気が出てくるのです。
先日、また嬉しい知らせが届きました。
9月28日から10月の20日まで、ギャラリーあしやにて
「田代桂子展」が行われるそうです。
芦屋、北九州などの風景画が30点、
海外のスケッチが20点、
人物、静物画などの油絵が20点ほど。
70点もの田代さんの絵が見られる機会です。
個展の会期中には、エッセイ集も出版されるとのこと。
タイトルは「ラテン・バルカン スケッチひとり旅」。
10月6日(日)の10時〜11時には
「モナリザ・イン・ヌード」と題したギャラリートークも行われます。
多くの人に、田代さんと、田代さんの作品に触れてほしいと思います。
(加世田侑季)
田代桂子展
会場:ギャラリーあしや(遠賀郡芦屋町中ノ浜4-4 芦屋町中央公民館3F)
会期:2024.9.28(土)〜10.20(日) 9:00〜17:00
休館日:9.30(月)/10.7(月)
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