あるがままを見る

この9月、小倉駅徒歩4分ほどの場所に、セラピールームをオープンしました。心理カウンセリングや、講座、グループワークに、ドイツの家族心理療法家バート・へリンガーが創始したファミリーコンステレーションを取り入れています。

個人の抱える問題を、家族全体のシステムを通して見ていく手法で、ヨーロッパや南米では広く知られています。代理人を実際に家族のポジションに配置し、代理人の感覚を通して、家族の相互関係や力動を再現していくのですが、そこでは、常識的な見方とは全く違う様相が示されます。

すぐに癇癪をおこす不登校気味の男の子が、実は、誰よりも家族のことをよく見ていて、心配し、どこかに行ってしまいそうな親を必死に止めようとしている心の叫びが現れてきたことがあります。

家族に迷惑をかけている男性が、実母の悲しみと喪失感を背負い、代わりとなって力尽き果てている状態が、見えてきたことがあります。

意識の深層で起きていることは、本人も無自覚です。

夫や祖父母から子どもを必死に守ってきたお母さんが、絆や流れ来る愛を遮っている様子には、繰り返し出会います。

どの事案も、家族を想う深い愛によるものなのですが、その愛の方向性が間違っていたり、途切れそうになっていたり、もつれていたりしていることで、問題となって表出してくるのです。

ありのままを見て、ありのままを認める。

やさしいようで難しい、深い行為です。

それが、癒しと調和への第一歩となります。

家族間に流れる愛が、それぞれの人生が、流れるべき方向に流れはじめますように。　多くの家族に、多くの人の心に、平和が訪れますように。

セラピールームcocorise　HP:　https://www.cocorise.com/

（松井美由紀）