断捨離で思い出した、胸熱の「感想」
長女の進学に伴い、大掛かりな断捨離が必要になった我が家。
40年前ほど前に買ってもらった大きなピアノは妹の家に移動。
若い頃に衝動買いした一人がけの大きなソファ、タンスなどを処分。
20年以上、見て見ぬ振りをしていた書類の山にも、ついに手をつけました。
「1年使わなかったもの・触らなかったものは、一生使わないし触らない」
という、いつか聞いた誰かの名言を頭の中で繰り返しながら
どんどんゴミ袋に投げ入れていたら、ある時、手がピタリと止まりました。
それは、9年前に届いた母校からの封筒。
中には「社会人講演会」を聞いてくれた生徒さんから、お礼の手紙が何通か同封されていました。
もともと、大勢の人前で話すのは苦手です。
そもそも、書く時だって、なんども推敲して時間がかかるタイプなのに
講演のような、瞬発力と柔軟性と対応力を必要とされるものが
得意なわけがありません。
確か、この講演も受けるかどうか、かなり悩みました。
前途洋洋な高校生を前に、地味なライターの仕事なんて。何を話せばいいのか…。
もちろん、話した内容などは具体的には全く覚えていませんが
生徒さんからいただいた感想文を読むと、それが断片的に伝わってきました。
「自分の得意分野や興味のあることを深め、
それを強みにすることが大事だと思いました」
「失敗を恐れず、何にでも挑戦してね、という言葉が心に残っている」
「ライターとは、誰にでも始めることができる仕事であるからこそ、
生き残ることが大変な仕事だということがわかった」
「人に接する時に、なるべく偏見を持たない。
そうすれば、相手も心を開きやすくなる。という話が印象に残りました」
…ちょっと!それ、本当に自分もやれてる??
自分に強めのツッコミを入れたくなるような部分も見受けられ…。
当時はちょっと(かなり)盛って話したかもしれませんが、
拙い私の話から、高校生たちがポイントを捉え、しっかり理解してくれていることに
激しく感動しました。
普段、書いたものや仕事に対して、直接意見を聞く機会があまりないので
本業ではないにしろ「感想」をもらえたことも感激した理由の一つ。
9年経った今も、再び胸がジーンと熱くなりました。
と同時に2年前、ライターを目指すママさんを対象にした
「ママライター養成講座」で、講師をさせてもらったことを思い出しました。
その講座の内容を、受講した生徒さんが養成講座のホームページに
まとめてくれているのですが、これがまた秀逸なのです。
私の意図を理解した上で、言いたかったけど言えなかったことまで読み取ってくれています。
しかも私がしゃべって伝えるよりも、はるかに素晴らしい文章にしてくれており。
これもまた、私にとっては胸が熱くなる「感想」となりました。
執筆してくれたあゆみさんは今や、仕事をお願いできる大事なライターの一人です。
人の話を理解する力もまた、ライターの大事な要素の一つだとしみじみ感じながら、
高校生からの手紙をファイルに入れ直し、再び断捨離を進めたのでした。
(谷口)
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